さて,今回はkoko-mailのメーリングリストで話題に上がっていた,「弱視の子ども向けの漢字ドリルを作りたいのだけど,何か良い方法は?」という質問について,MS&東大先端研共同開発の文字PPTで,「動くオリジナル漢字ドリル」を作る方法についてのご紹介です。
※この文字PPTの最近の記事は,「触覚で漢字の書き順や構造を学ぶ方法」や「Microsft PowerPoint® 向けの文字教材サイトをオープンしました」を参照ください。
市販されている漢字ドリルは1ページに印刷されている文字のサイズが小さいためか,「弱視の子ども向けにワープロでオリジナルの漢字ドリルを作る方法はないだろうか」というご質問だったのですが,ワープロの代わりに,PowerPointと文字PPTを使ってドリルを作ることができます。改変して作成したファイルの再配布が規約上できないので,ビデオでどのようなものかをご紹介します。
配布されている文字PPTは,一枚のスライドに一文字しか載っていないので,それを別の一枚のスライド上に何回もコピー&ペーストしています。
さらに,この例の場合では「漢」という文字を構成するパーツを,書き順ごとに必要なパーツだけを輪郭の上に継ぎ足す形で,文字が段々と筆記されていくようすを表現しています。そして,特定の書き順に相当するパーツは,わかりやすいように赤色に色を変えました。
一番上にひとつだけ配置している,少し大きめの見本の文字だけは,書き順アニメーションを削除せずに残してあります。なので,パソコン上でプレゼンテーションを実行すれば,この見本文字で書き順のアニメーションも見ることができます。
このスライド上の文字の大きさを,個々人の視力のレベルに合わせて変更すれば,子どものニーズに合わせた,望みのサイズのものを作れます。
もちろん,偏(へん)と旁(つくり)や,書き順の重なりなど,パーツを個別に色を変えて強調するなど別の応用の仕方で,ディスレクシアの児童生徒向けのドリルも作ることができます。
こんな風に,好きなように改変して応用できるところがこの文字PPTのいいところですね。
これを印刷すれば,上記の写真のように,生徒が鉛筆等で書き込み可能なドリルになります。残念ながら紙なのでアニメーションはしません・・・。ところでプリンタの調子が悪くて,紙が波打ってしまいました。写真,ちょっと見にくいですね,すいません。
それからこの印刷用のバージョンだけ,なぞり書きできるように,輪郭だけのコマを最後の三コマに用意してみました。背景の文字の輪郭線を「図の書式設定」で「明るさ」を明るく調整して,薄い線になるように調整したものを追加しています。写真で言うと,指が写っているところにある3つのマスの部分です。
ちなみにこの輪郭線の色の濃さの調整方法は,PowerPoint 2003までの場合です。PowerPoint 2007の場合は,文字PPT素材で使われている背景の文字輪郭を,通常のフォントとして扱えるので,輪郭線を点線にしたり,太さや色を変えたり,もっと自由に調整できます。まさになぞり書き用ドリル作成に向いてますね。
この「文字を輪郭だけの表記にする方法」は,文字PPTの素材とは無関係の,単なるPowerPointの機能ですから,すぐに試してみることができます。例えば以下のように,文字の輪郭が点線になるように設定して,スライドを作成してみました。
(そうそう,文字に枠を付けるアイデアは,ディスレクシア当事者で学校の先生,神山先生からのアイデアです。子どもたちに文字を提示するときにも,ちょっとしたことで,文字のわかりやすさが変わりますね。)
望みのフォントサイズで,なぞり書き用の教材を作る場合には,これだけでも十分ですね。上記のサンプルは参考まで,ここをクリックすればダウンロードできるようにしておきました。
PowerPointはついプレゼンテーションに使う,と考えてしまいがちですが,文書を作るときにもむしろワープロよりも編集の自由度が高いので便利です。便利な素材があるときにはなおさらです。ぜひ試してみてください。


