大学での障害学生への合理的配慮(2)国内の支援事例
さて,前回に引き続いて合理的配慮のガイドラインについてですが,前回書いたように,「合理的配慮」の考え方を前提にすれば,本来的に全国共通のガイドラインはありえないということになります。しかしそれでは実践を始めようにも参考にならないので,今回は,日本でどのような配慮が行われているかについて知るためのリソースを示してみます。
ただし,以下の国内事例ですが,前回も書いたように日本には「合理的配慮」を規定する法的背景がないので,あくまでも各大学や機関が独自の工夫に基づいた取り組みとして行っている事例になります。
障害学生支援のまとめ
まず,現状の障害学生支援についての網羅的なまとめは,日本学生支援機構が取り組みとして行っている「障害学生修学支援メニュー」が参考になります。以下のリンク先のページ右側の「支援メニュー」以下にある「サービス(ソフト)」「建物・設備・備品(ハード)」「体制」の観点からまとめられています。
日本学生支援機構(JASSO)・障害学生支援メニュー
http://www.jasso.go.jp/tokubetsu_shien/shienmenu.html
JASSOでは「障害学生修学支援ネットワーク」という団体をつくっていたり,毎年障害学生の実態調査を行っていたり,障害学生支援の研修プログラムを公開していたりとさまざまな活動が行われており,とても参考になります。
ちなみに,上記では「入学試験、定期試験時における試験問題の点訳実施については、大学入試センターのセンター試験の基準に準じて実施する大学等が多い」というまとめかたをされていますが,この基準やその他についていろいろと改善点の指摘を行っているのが前回の記事の冒頭にリンクを掲載した我々の報告書なので,ぜひご一読ください。日本以外の,米国や英国での入試の配慮については,この時の報告書と今年の報告書で海外事例に少し触れています。日本に比較するとびっくりするほど融通のきくメニューがあります(特にイギリス)。この記事の最後にリンクを掲載しておきます。
大学各自の取り組み事例
以下,大学独自のウェブページで,障害学生支援のメニューを示している事例を示します。あくまでウェブページから読み取れる内容という点に注意してください。
広島大学アクセシビリティセンター
http://www.achu.hiroshima-u.ac.jp/
上記の「広島大学で行っている支援の内容」がメニューにあたります。「広島大学の支援システム」「支援の流れ」では,具体的にどのような支援体制が障害学生に関わるのかが示されています。「試験等に関する特別措置」では試験での配慮のポリシーが明記されています。
日本福祉大学障害学生支援センター:日本福祉大学の障害学生支援について
http://www.n-fukushi.ac.jp/shiencenter/sien.htm
上記の「受講上の配慮」がメニューにあたります。また,「期末試験の配慮」では試験での配慮のポリシーが明記されています。
同志社大学:障がい学生支援制度:制度の利用を考えておられる方へ
http://www.doshisha.ac.jp/students/support2/shogai/riyou.php
東京大学バリアフリー支援室:サポートメニュー
http://ds.adm.u-tokyo.ac.jp/who-support/student03.html
「サポートメニュー」リンクの下にある「貸出可能な機器」には支援機器のメニューがあります。「FAQ」では,入試での特別措置についてごく簡単に言及されています(詳細はなし)。
立教大学身体しょうがいしゃ支援ネットワーク:しょうがい学生への支援内容
http://www.rikkyo.ac.jp/aboutus/philosophy/activism/barrier_free/activities/support/
入学試験,定期試験特別措置について上記ページ内で簡単に言及されています(「時間延長,別室受験,支援機器の利用などの措置を行うことができます」)。
大阪大学学生支援ステーション:障害学生支援ユニット:サービスの紹介
http://www.osaka-u.ac.jp/jp/campus/shien/service/about.html
「試験における配慮」について上記ページ内で簡単に言及されています(「時間延長,別室受験,点字受験等の必要なコーディネートを行ないます」)。
筑波大学障害学生支援室:障害別案内
http://www.human.tsukuba.ac.jp/shien/syougaibetu.htm
上記の「V. 学習補助活動について」「IV. 学習支援活動」「V. 学習支援」に視覚,聴覚,肢体不自由それぞれについての支援内容のメニューが示されています。試験については,「入学時の対応」のページにごく簡単に言及されています(詳細はなし)。
ちなみに,上記の5つまでは全国障害学生支援センターがウェブで公開している「障害学生支援ランキング(http://www.nscsd.jp/ranking2009.htm)」に掲載された「総合ランキング」の上位から順に例示しました。阪大は6位,筑波大はなぜかランクにありませんが障害支援で著名な大学なので取り上げてみました。
発達障害のある学生への取り組み
さて,次に最近特に注目されている発達障害学生支援で,特に積極的な取り組みを行っている大学として以下の2校がよく知られています。それぞれ合理的配慮の枠に留まらない独自のサービスが展開されています。
信州大学:発達障害支援部門
http://www.shinshu-u.ac.jp/good_practice/s_support/dd-support/index.html
富山大学:トータルコミュニケーション支援室
http://www3.u-toyama.ac.jp/gp07/
参考:入試の合理的配慮・支援サービス
以下の4番目は,イギリスで実施された配慮内容の統計情報が示されているので,イギリスの入試で「合理的」と判断されるラインを判断する参考になります。
SAT Services for Students with Disabilities
http://www.collegeboard.com/ssd/student/index.html
米国大学進学適性テスト・障害学生サービス
SAT Test Accommodations
http://professionals.collegeboard.com/testing/sat-reasoning/register/accomodations
米国大学進学適性テスト・試験における配慮
ACT Policy for Documentation to Support Requests for Test Accommodations
http://www.act.org/aap/disab/policy.html
米国大学入学学力テスト・テストへの配慮要求に対するポリシー
GCE(General Certificate of Education)Access Arrangements, Reasonable Adjustments and Special Consideration 2009-2010
http://www.jcq.org.uk/exams_office/access_arrangements/regulationsandguidance/
英国一般教育証明試験・アクセシビリティための調整,合理的調整,特別配慮 2009−2010
以上
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